#33 日本にもっとナッツカルチャーを!
近江八幡でチャレンジする、こだわりナッツ専門店「Going Nuts!」

デスクに忍ばせて仕事の合間にパクッ! このところナッツファンが周りに増えていると感じているのは気のせいでしょうか。植物性で栄養価の高いものを、という健康志向の方にも人気のナッツ。グラノーラと一緒に朝ご飯に、酒のお供になど、食べ方の幅も広がっています。

近江八幡にある「Going Nuts!」は、常時70種類以上のメニューが揃うナッツ専門店。その場でつくるアーモンドバター、自家製の燻製ナッツミックスやナッツスムージーなど、ナッツを多様に楽しめるメニューが揃っています。もうここは、ナッツの宝石箱や〜。

 

無添加、燻製、ブレンドナッツ。ナッツの味わいを存分に

 

明治期の酒蔵を改装した木造の建物に、手書き調の「Going Nuts!」の看板。店名の意味は、「ナッツに夢中になる!」なのだそう。ドアを開けると壁面にずらりと並ぶ量り売りのナッツたちがお出迎えしてくれます。

 

アーモンド、ピーカンナッツ、ピスタチオにクルミ…ちなみに、ナッツとは木の実全般のこと。量り売りや詰め放題など、欲しい量に合わせてセレクト可能。無添加や有機ナッツの人気もあるのだそう。初心者さんやギフト用には、「アンチエイジングミックス」「美肌ミックス」など、食べ合わせの旨さを追求したナッツとドライフルーツのブレンドもあります。

「ナッツの魅力をもっと日本の人に伝えたいです」と「Going Nuts!」を運営する株式会社 エバンジェリスト 代表取締役の道城牧人さんは話します。

 

全ての商品開発に携わっている道城さん。幼少期をロサンゼルスで過ごしたという体験が最大限に生かされています。

「欧米ではナッツは身近な食べ物で、アレンジの幅も多様です。キッチンの棚にナッツが入った瓶があって、小腹が空いたら食べるというのは日常の風景。他にもデーツを入れて固めるグラノーラバー、トーストに付けるナッツバター、そしてアーモンドミルクやマカデミアミルクなどのドリンクも充実しています」

 

おもむろに店内のナッツディスペンサーから、道城さんが持って来てくださったナッツとドライフルーツ2〜3個。「これを全部一緒に食べてみて」と言われるがままにいただいてみると、ナッツの旨味とフルーツの甘酸っぱさが口の中で混ざり合って、なんとも新感覚!

 

「これがうちのブレンドのこだわりです。香ばしさ、酸っぱさ、甘さなどいろんなレイヤーが深みを増せば増すほど美味しくて、飽きません。これがブレンドの面白さです。ぜひ感じてもらえたら」と道城さんは楽しそうに微笑みます。

 

続いて、テイクアウトメニュー「ナッツスムージー」もいただきました。定番の「アンチエイジングナッツスムージー」を一口…。ナッツのドリンクだと聞くと、イメージだけで濃いのかなと思っていましたがそんな心配は無用でした。

 

穏やかな甘みとさらっとした舌触りでごくごく飲める爽やかなドリンクでした。砂糖不使用で、甘さは全てドライフルーツによるもの。春夏秋冬問わずさっぱりといただける、まさに逸品です。

「子どもの頃、母がよくシェイクを作ってくれたんです。それが美味しくて…。店舗オープンに向けて、ドリンクを出したいと思って想い出の味を再現してみたんです」

 

 

「ナッツに人生を捧げてみたい」。アメリカで過ごした幼少期の原風景

 

ナッツの魅力を語り出すと止まらない、そんな道城さんが近江八幡で「Going Nuts!」をオープンしたのは、37歳の時でした。

「今から7年前くらいかな。自分になにができるか迷っている時期でした。そんな時にアメリカのナッツ農園を訪れて、その先の地平線から昇っていく太陽を見た時、ああ僕のやりたいことはこれだと感じたんです」

 

「ナッツの魅力はたくさんあります。理由は大きく3つ。1つ目は農薬を使わずに水だけで育つという循環システムが成り立っているということ。ナッツはミツバチを介した自然受粉により維持されており、とてもナチュラルな生産体系なのです」

 

「2つ目には、生産者が価格を決められること。これは大きいですよ。3〜5年間の生産量、そして需要と供給のバランスを見ながら、出来高によって価格を決めていくのです。先物取引ではないため、投資的なリスクに商品が脅かされることはありません。これは労働者が搾取されがちな生産環境とは異なる部分。そのためかナッツ農園はパワフルでタフな農家さんが多い印象です」

 

「最後に、世界中でナッツは食べられているということです。残念ながら、日本ではまだまだ普及が広がっていませんが、海外ではかなり大きなナッツ市場が動いています。伸びる可能性はまだまだあります」

こうして道城さんの人生と縁がつながった事業がはじまったのです。

 

 

繋がらないようで繋がってきた、近江八幡とナッツ

 

自然環境へも配慮のある店舗運営。オープン当初から、ナッツ販売にはディスペンサーを使い、量り売りで必要な分だけ購入できるようにしています。容器を繰り返し使うことでフードロス、プラスチック削減やゴミの削減にも貢献しています。

 

「お豆腐や米など、日本にも昔は量り売りのお店がたくさんあったと思います。そういう文化がもう一度復活してほしいなと思いますね」

買い手にも売り手にも、ゴミが出ない。取材の間にも、お店を訪れたお客さんが慣れた手つきでディスペンサーを使う様子が見られました。毎日の消費から、少しずつ社会を変えていけるって気持ちいいですね。

 

仕入れるナッツはカリフォルニア州を中心に作られた無農薬のもの。道城さんが生産地へ足を運び、顔を見て選んでいます。「ナッツって見た目が同じなので、違いが分かりにくいんです(笑)。だから食べてみないと美味しさが分からないんですよね。それを必ず現地で確かめます」

 

こうして仕入れたナッツを、近江八幡でブレンドすることに意味があると道城さんはいいます。燻製やローストなどもナッツの旨さを引き立てる要素。ナッツの魅力をさらに引き上げることに成功しています。

 

店舗のある近江八幡も、昔住んでいたことがある土地。歴史のある建物と静かな町並みに惹かれ、この地に決めました。近江八幡の町並みをつくりあげているのは、古い町家群と建築士のウィリアム・メレル・ヴォーリズによる西洋建築です。

 

「和洋が混ざった、この町の雰囲気が好きなんですよね。アメリカと日本にゆかりのある、自分と重なる感じもあります。店を始めた6年前、この付近は人通りが少なかったのですが、少しずつ賑わってきました。アンティークショップや鞄屋などオリジナリティのある小売店が増えています」

 

「『Going Nuts!』に遊びに来たことがきっかけで交流するようになった地域おこし協力隊の子が、この『まちや倶楽部』内に蜂蜜専門店をオープンしました。こうやって意志のあるお店が生まれて、お店同士が共鳴し合うことで、近江八幡らしさが育っていくような気もします。自分自身が日々感じている近江八幡の魅力も、全国の人に知ってもらいたい。人生のターニングポイントで出会ったナッツを、この町のフィルターを通して世の中に届けていきたいです」

 

先日、できたてほやほやの新商品「Nuts Stories Episode#01. ~Californian meets Omihachiman~」が誕生しました。Going Nuts!で自家焙煎した有機ナッツと、滋賀県湖南市の野山でチャレンジファームさんが養蜂したハチミツをブレンド。その他に2種類の有機ナッツバターが入っているとのことで、「近江八幡のナッツとカリフォルニア生まれのオーナーのストーリーが体感できます」と道城さんが太鼓判を押す逸品。これはもう食べてみるしかなさそうです!

 

ナッツの魅力を届けること、そしてナッツ専門店のある近江八幡の魅力を届けること。さまざまな想いが重なり合う「Going Nuts!」は、ひとつの奥深い味わいとなってこれからも人を魅了していきそうです。

とりあえず美味しいナッツスムージーを片手に、近江八幡の町巡りに出かけるといたしましょう。

 

Information

Going Nuts!

滋賀県近江八幡市仲屋町中21まちや俱楽部内Google Map
営業時間:11:00〜18:00(日曜のみ12:00〜17:00)
店休日:水曜日
TEL:0748-43-1933

ホームページ / Instagram

 

※上記は2023年8月1日現在の情報となります。

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