#01 滋賀の魅力を詰め込んだマイクロブルワリー「近江麦酒」

地元食材を活かした”おもしろ美味しい”クラフトビールづくりを目指す、滋賀県大津市にある醸造所「近江麦酒」。

 

クラフトビールそして滋賀県の魅力についてなど、代表を務める山下友大さんにお話を伺いました。

 

※本文章は2020年8月の取材内容を加筆・再構成したものです

 

なぜ滋賀でクラフトビールなのか

出身は兵庫県加西市。もともと大阪でプログラマーをしていたという山下さんが滋賀県に移り住んだのは、今から17年前のこと。

 

仕事の傍ら、趣味で味噌やヨーグルト・納豆などを醸すことが好きだった山下さんは、移住先で舞い込んだホームページ制作の依頼が元で奥様と出会います。

 

そしてその奥様の買ってきた『よなよなエール』の美味しさに衝撃を受けたことが、ビール醸造家への道を歩むきっかけというのだから面白いものです。

当初は「リタイア後に趣味程度にビールづくりができれば」という感覚だったようですが、勉強を深めるうちに「いま免許をとってしまおう」と思うようになり、泊まり込みで修行にも出向いた山下さん。

 

この地でビールづくりをして分かったことは「滋賀の水はビールづくりに最適で、食材の宝庫でもある」ということ。

 

滋賀に来た理由も「たまたま。特に目的があったわけでもなく(笑)」と話す山下さんですが、偶然にしてはでき過ぎなくらいのストーリーが出来上がっていました。

 

本当は『おごと温泉ビール工房』にするつもりだった!?

続いて衝撃の事実が出てきます。

 

「実は『おごと温泉ビール工房』という名前にしたかったんです」

 

なんと、私たちが旅館を営む地・おごと温泉とのゆかりがありかけた(?)というのです。

商標登録が認可されず残念ながらそれは実現しなかったようなのですが、これも結果として功を奏することとなります。

 

「小規模醸造所の強みを生かして多品種醸造を続けるうち、湖西から始まったものが、野洲の鮒寿司、竜王の桃と、ネタ(食材の産地)が東に広がっていき、今となっては『近江』麦酒にしておいてよかった」と山下さん。

 

ある種運命的で、ひょっとすると山下さんは強運の持ち主なのかもしれません。

 

ビールづくり=地域の特色を表現する場所

本来の山下さんは、直前になってからまとめて仕事をするタイプとのこと。しかし「ビールを作るのは自分ではなく酵母であって、そのお世話をすることしかできない」ために、醸造を急ぐこともゆっくりすることもできない。

 

ビール醸造において「時間的な余裕があまりないことがとても大変」だといいます。

反面、「人のつながりがすごく増えたことがよかった」そう。

 

ビールづくりを通して、地域の方や農家さん、食品会社・機械の会社・金融機関・役所の職員など、本当に多岐にわたる職種の方とかかわるようになったようで、「大津や滋賀を支え動かしている、地域の方々とのお付き合いからも多くの刺激を得ている」とのことです。

 

ビールづくりを「地域の特色を表現する場所」と言う山下さんが、とても印象的でした。

 

新しいこと・面白いことにチャレンジし続ける山下さん

新型コロナウイルスの影響はここでも大きく、やはり山下さんも大変な思いをされたようですが、それでも「この期間があったことで、今後の方向性を考える十分な時間ができた」といいます。

 

店舗に窓を作ってそこでのテイクアウト販売、生ビールの量り売り、定期購入サービスの導入など、いろいろなアイデアで新しい計画を立てることができたそうです。

 

そして2021年12月現在、これらの計画はすべて実際のサービスとして提供が開始されております。詳しくは近江麦酒公式ホームページをご覧ください。

これからチャレンジしてみたいことを伺うと「酢工場をつくりたいと思っています(笑)」と即答する山下さん。

 

ビールづくりでお世話になっている桃農家さんのところでは、少しの傷がある等の理由で商品にならず捨てられていく桃がたくさんあるようで、ビールではなくお酢にすればお酒が飲めない方にも届けられると思い、興味を持ちはじめたそうです。「やりたいことや自分が面白いと思えることをずっとやっていきたい」と語る山下さんらしい、意欲的な構想だと感じました。

 

その他にも、いろいろなフルーツでのお酒づくりや、ビールづくりの講座の開講など、思い描くプランは多い様子。もともとは大学で宇宙産業を専攻していたところから興味が移り、プログラマーからビールにたどり着いていらっしゃいます。その好奇心からくる探求が尽きることはまだまだないようです。

 

女性から絶大な支持を得る『糀エール』とは

これまで多くのビールをつくってきた山下さんにとっての最高傑作―

 

それが、味のバランスと香りが抜群に良いという『糀エール』です。「米に花」という、文字の見た目が綺麗なこともさることながら、クラフトビールのイベント等では女性のお客様からの反応がとにかく良いそう。糀には美肌、抗酸化などの美容効果もあるとされるため、女性には嬉しいビールなのです。

 

おすすめの飲み方は、「ワイングラスなどに注いで香りを感じながら」。また、注ぎたての3℃前後と、少し時間を置いた10℃前後では、違った香りを感じてもらえるそう。是非一度は試してみたい逸品です。

 

バリエーション豊かな近江麦酒

『糀エール』以外にもそれぞれ特徴的で魅力たっぷり、豊富なラインナップの近江麦酒。代表的な銘柄の中から3種をここでご紹介します。

まずは『ベルジャンホワイト』。クリーミーな味わいで、「カレーなどスパイス系にもよく合い、女性にもおすすめ」のテイスト。

続いて『セゾン』。こちらはドライで酸味あるフルーティーな味わいが特徴。「ビール好きな方・飲み慣れた方におすすめ」とのこと。

最後に、モルトとホップの究極のバランスが自慢の『ペールエール』。「オールマイティさが売りでどんな料理にも合わせやすい」そうです。

 

ビールの魅力は「他のお酒に比べて笑顔の似合うお酒」だと語る山下さん。滋賀を巡るなかでの楽しいひとときのお供に、うってつけのアイテムとなるのではないでしょうか。

 

滋賀の魅力をビールにぎゅっと・・・

たまたまやってきた滋賀県ではありますが、今はその良さを発信する側となっている山下さん。

 

この土地の魅力を「都会から近い自然、そして水を豊富に湛えるびわ湖があり、人も住み心地も良い」としたうえで、「ただただ好き」と、滋賀県生まれの奥様と口を揃えていらっしゃいました。

「滋賀の魅力をビールにぎゅっと詰め込みました」と山下さん。2018年のオープンから、まだ3年。これからがもっともっと楽しみな近江麦酒へ、皆さまもぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

Information

近江麦酒

滋賀県大津市本堅田3-24-37(Google Map
TEL:077-536-5222
定休日:月曜・木曜
ホームページ / Facebook / Instagram / Twitter

 

※上記は記事公開時点の情報となります。詳しくは施設HPや公式SNSにてご確認ください。

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